お金を出す人


以前、ある印刷物のブロジェクトの際に、
「お金を出す人」である出資者の方が、
自分はお金を出しているだけで制作している訳ではないから、
出来る人に自由にやって欲しいという理由で、
一歩、後ろへ下がるという判断をしてしまうという事があって、
いやいや、それはおかしいだろってなもんで、
デザイナーともどもと同じ立ち位置で話が出来るように仕組む、
という出来事がありました。

ついつい、作るものは、作る人を主役に置いてしまいがちですが、
僕は違うと考えています。
デザイナーとクライアントという立場以外の場合や、
会社のデザイナーであれば、会社の案件って事になるのでしょうけど、
どうしても目に映るのは作った人の仕事、もしくはスポンサーの、
どちらか一方なのは、
どうもやはり違和感というか、
もちろん、そういうのもひっくるめて1つの出来事であるが、
どちらか一方を主体として置くのはどうかと思うのです。

著作権などを主張するという行為は、
とても見苦しく感じてしまいますし、
もし、目的に対して物事をシームレスに運びたいのであれば、
それはとても不要で無駄なものだと考えています。

作ったものがあるだけの話なのだとすれば、
それに対して、自分がやったとか、そういうのは自由に言っていいと思うし、
それが作った側の権利であったり、
お金を出した側の所有物であったりするのは、
不自然に感じずにはいられないのです。
ただ、作ったものがあって、
結果があって、
そのようになった意図があって、
判断として、その方が良いというのであれば、
そうすればいいだけの話なような気もします。

良い話であれば、
そもそも、こういう事を考える必要はありませんし、
そうした方がいいという方法も自然と自ずと導き出されるものだと思うのですが、
それらを権利や決まりごとのように語るのは少し違うかもしれません。
そんな時に立場として、一番に台頭に立つのは「お金を出す人」すなわち出資者です。
印刷物にもかならず出資者が存在していますし、
その出資者は少なからず何かがあってその話を進めているに違いありません。
これはもしかしたらスポンサーという考え方から少し外れるとは思いますが、
それはとても仕事として捉えるなら契約によるものと推測されますが、
「お金を出す側」と「作る側」は対等であって欲しいなと常々考えていますし、
なによりも出来上がったものが強くある事を願っているのです。
つまり、
そのような奇跡を起こそうというのに、
一歩引く事は違うなと感じたのですね。

今の状況って、
印刷に限らずだと思うのだけど、
「こういうのがあったらいいよね」が大体の主流で、
今は少し虚構に寄っていってる傾向はありますが、
それでも、作る人だけが、スポンサーだけが描く夢では無くなっていると思うんですよね。
技術を保有している人がどんなに増えても、
それを理解して受け止める人が居ないと、
まず、出資は起こりませんし、
結果、自分たちで負担する事になる。
それは、もう、歴史的に見ても散々やってきたし、
その末路というのも過去から十分に学べるのではないでしょうか。

クライアントワークにも、
もしかしたら限界があるかもしれません。
より、「出来上がったものが強くある」状況作りというのは、
単に技術で語れる話しではないかもしれません。
高度な技術というのは、何に対して高度であるかでその意味が変わってくるとも思うのです。
可能性を感じませんか?
素晴らしい印刷の実現は、
高度な印刷加工の技術だけが引き起こせるものなのでしょうか、
それとも、大きな資金力を持った企業が引き起こせるものなのでしょうか、
偉大な作り手、もしくはデザイナーがもたらすものなのでしょうか。
歴史や文化は、過去になれば全てが切り捨てられ、新しくなるのでしょうか。
出来上がったものを賞賛出来るだけの批評力はありますか?

1つの奇跡を起こす時に、
考えなくてはならない事や、やらなくてはならない事は、山ほどにあると思うのです。
それは、様々な要因が含まれますが、
関わる全てのもの、人が、とても勉強した状態で、
それを現れる状況が整っていて、そういう事が起これば、どれだけ素晴らしい事か。
一部ではなく、全部が揃っている奇跡をいつか、かならず起こす、起こしたいと思う人は、
そういった専門家だけではなく、「お金を出す人」も含まれるべきなのではないでしょうか。

例えば、
お金を出す人が居て、
それらを実現するに必要な優秀な人達が居る状況を作るだけでも
それはもう十分に尊く、美しいものだと思うし、
その上で、素晴らしいものが出来上がるとなれば、
それが物質であれ、状況であれ、
こんな奇跡は滅多にありませんし、
それらを賞賛しないなんて凄くもったいないと思うのです。

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