モニターと印刷の違い(または、表されるものの再現性について


アドビイラストレーターの精度ってどれくらいなんだろう。各種ドローイングソフトも含んだ上で、印刷技術がデータに忠実である事を前提として、あのソフト群が数値として表す、その感覚は、どの程度それまでに培ってきた筆やペンや鉛の状況を作り出してくれるのだろうか。画家の人とお話しした時に、『PCで利用されているハイエンド系のドローイングソフトの全てを試したのだが、どうしても「線が丸くなる」』というお話しを聞いた事があります。どんなに解像度を上げ、どんなにデータ上で鋭角にしても、その画家が用いる技術の意味での鋭角を、PCでは再現出来なかったのだそうです。今までに、一般的なものからハイエンドなスキャナまでを試した経験で答えれる事があるとすれば、原画をスキャンをした時に、圧倒的な平面として、モニターに表されるのですが、恐らく、画家がコントロールしている線というのは、おおよそ平面な紙の上であると考えられます。しかし、例えば、その紙にも、実はとても小さな凹凸があって、画家の感じたPC上での鋭角の違和感というのは、その凹凸の角度を無意識の内に利用し作り出された立体的な鋭角だからではないかと推測が出来ます。画家が認識するレベルという限定ではありますが、それを圧倒的な平面であるモニターで再現する際に、スキャナの時点で崩壊するのですから、そのデータをモニター上でどのように修正したとしても、その凹凸を意識しコントロールする事は到底不可能であると考えらえるとともに、それに加えて、印刷の場合にも、例えば、版に仕上がった時点で、紙をどのように工夫したとしても、その再現を達成する事は無いのだと思います。また、違う画家の方とのお仕事の際に、「データはこちらで(画家側で)用意する」という事で、画家の方が自ら、データまでを責任を持って、それまでを完成としているというものがありました。そのデータというのが、とても特徴的で面白いものに仕上がっており、普段、「綺麗に印刷する」という観念で用意するデータとは少し趣の違うものでした。画家自身が原画をモニターに移行し、それを印刷に廻す為のデータとして作成する、その限界値みたいなものを悟っているかのような、とても不思議で、刷りの結果の素晴らしさから、それからのデータ化にとても影響する結果となりました。こんな感じで、やはり、感覚の鋭敏さ、意識の強度みたいなものは、今まで培ってきたものの方が有利であるなと思ったというのあるのですが、これはあくまで、ある感覚をPCというものを使った印刷という利用に特化した場合に、その再現性について、チューニングすると言った視点でのお話です。モニターと印刷の違いではなく、この事について書いたのは、モニターと印刷の違い、という感覚が、前述のような感覚にとても似ているからです。彼ら画家は、あくまで、それまで培ってきた技術や感覚の再現を印刷で行う際に、今の技術の在り方の欠点や、模索の結果を示してくれたに過ぎず、彼らは画家であるし、画材や、支持体の時点ですでに完成しており、それらを再現し刷る行為というのは、オリジナルの劣化を量産するという概念から外れる訳ではなく、印刷技術の高まりの方向の1つ、または、その策定の1つとして挙げられるものであったとしても、それは、再現性という意味や枠からは外れる事のない、なんとも抜け出せない人の感覚の迷宮なのですね。モニターという修正が効く中間地点が発達したおかげで、またはオフセットに纏わる印刷技術、写真製版などなどの発達で「とてつもなく再現性が高まった」とも言えますが、同時に表される印刷に対しての「違い」にも敏感になるようになるという新しい感覚を生み出しました。それが画家であるなら、凄く大きな深刻な問題として表面化します。Kaleidoに代表されるような技術の在り方もその代表格の1つであると言えますが、そのような問題を新しい技術が解決してくれるかもしれません。トリプルトーンもそうですね。モノクロ写真に対しての印刷の解答なのでしょう。この再現性についても、印刷技術の1つの方向なのですが、最近はとくに「モニター」を再現する事に技術の高まりが向いているように思います。この精度の高まりが、今まさに印刷技術として発展を遂げている最中であり、技術を読み解く大切なポイントになります。また、ここで重要な事は古い技術だから再現性が悪いというものではありません。古い技術には、古い技術がもたらす方向の再現性の高まりが、それはそれで存在しているのです。つまり、活版印刷だから、再現出来ないものがたくさんあるのではなく、今や活版印刷でさえもイラレのデータで版の作成を行います。その再現性と精度はとても向上しているのです。もしくは、そのおかげでそれまでに考えられなかったような活版印刷が可能になるかもしれません。印刷技術を見る時、モニターという名の中間地点、またはイラレ、またはドローイングソフトで印刷を制御するのであれば、そういった技術の発展の在り方に注目する事で、解決する問題が増え、技術に合わせて印刷への考え方も変える必要が出てくる事でしょう。また、それらをコントロールする為にも、より多くの策定をし、発展させ、実際に実行する事はこれから大きな意味を持つと思います。

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