低予算での印刷の正しき捉え方と実践


印刷は金が掛かる。でも掛からないというイメージも同時に持たれている。これを低価格帯に抑えた加工所の存在を否定出来る問題にしていはいけないし、実際のところ、かなりグレーなところもあるが安価だととても便利で使い易いとも同時に言える。また印刷と一口で言っても、その種類は多岐に渡っているし、一概に印刷だから高いとか安いとも言えないのが現状だと思う。しかし、それでも印刷は金が掛かる、という意識は常に持ち続けておいた方が良い、何故なら、そうしないと印刷自体が死んでしまうし、その中に居る人でさえ殺す事になる。印刷を安くする、という意識を持つ事が既に印刷を放棄しているし、印刷はそれくらい高度な技術を持ちえた製造ラインなのだ。ただし、だからといって高価なものが常に正解という訳でもないと思う。その中においても低予算というものの捉え方が出来る範囲というものがあって、それは考え方1つの変化で「印刷を実現」に至るとても実践的な方法とも言えるのだ。元来、印刷というものは、2次元の情報を複製する目的で考えられたものである。複製し、その情報を流布する事が、文化的、意識的にも高度なものとされてきた。同時に造形的な価値についても、印刷初期から備わっている事も注目すべき点である。とくにリトグラフの時のロートレック、ミュシャなどのポスター芸術は、複製という名の印刷に美術的価値のようなものを与えたのと同時に、広報やパッケージの面で強く影響し、そういう方向の美に対する関心を引き寄せる結果になった。それは今日まで像として再現度の高さの技術の高まりとして続き未だに発展し続けている。数を多く、同じ造形物を作り上げる事は製造にとっての根本であり、同時に私たちの美術的な観点を拡張してくれる手段としても、とても有効的に働く、そしてその一面としてデザイナーという存在が活躍し続けているのだ。しかし、発注者はデザイナーではない場合が多いし、印刷というものに慣れていない方が自然である。製造の中でも印刷は、紙、という扱いやすい素材のおかげか、とてもその技術の種類は多岐に渡ってたくさん存在している。今、新たな視点として、技術だけを抜き取り今までに無い目的や利用を促す流れというものがある。極端な話、製造という名の複製の概念を取り抜いて、造形的な部分だけをクローズアップして伝えたり、実現、実践している例もあるようだが、このプリパブでは、その流れ、またはそうやって誕生したものについては否定的な立場にある。それは、これらが実践ではなく実験だからだ。印刷の技術は多岐に渡っているから、今、実験的な制作は安易に思い立つし、実現にも至りやすい。だが、そういった姿勢のものを、いざ実践しようとした時に予算的な問題や製造的な問題が、かならず発生する。そのようなものは、印刷にとっての実験とさえも言えない。しかも仕上がったものは単なる造形であって製造でもない。印刷にとって実験であるなら、それが製造されるという事を実験されなければならない。印刷という技術において造形という一面のみをクローズアップして形にする事は技術そのものの高騰に及ぶし、それが印刷にとっての価値になったとしたら予算の確保が難しくなり、製造数が著しく減少する結果となる。そして印刷が死ぬ。何故なら、印刷は数の単価だからだ。数が減ると単純に収入が減る。機械を動かすには一定の金が掛かる。そうなると、自然と、単価が上昇し、または技術料が発生し、印刷というものが本来の製造という意味から外れてしまう。「印刷に拘りたい」のであれば、その拘るべき視点が必要なのだ。前述のように、技術の種類に拘った印刷という捉え方をした場合に、しかも低予算である場合に、とてもじゃないが実践的ではないし、とてつもない予算の額で動かせれるなら話は別だが、低予算において、そのような拘りはどちらかが死ななければならない。それが正しい認識だとはとても思えないのだ。低予算での印刷の方法は幾らでも存在している。それらが単に、今、認識されている印刷にとっての拘りというものとは肌色が違うだけで、印刷として成立している、しかも低予算で実現が可能、なものというのはとても崇高で、それもまたれっきとした印刷なのだ。印刷は金が掛かる。印刷にとって、お金を掛けるポイントというのは何処にあるのか、また、それがどのように作用するのか、それらを想像し予算を考える事で、より実践的で美しい印刷に至る事が出来る。ある美しい基準を印刷にぶつけるのではなく、印刷が持つ美意識の限界を理解し、その中で美しさを謳歌した方が、もし、低予算の場合に、発注者にとっても、印刷者にとっても、お互いが死なずに済む実践的な方法だと言える。また、あなたの予算ならこれくらいの事が出来ますよー、という指針を打ち出すのも策定であるし、そういった場合の手助けになると思う。

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